静岡県掛川発の”笑顔が生まれる”粉末茶スティック「Chabacco(チャバコ)」、次は世界へ!

外見はタバコの箱のパッケージで、中身は粉末茶のスティックが8本入っている。それが使われなくなったタバコの自動販売機を再利用して販売され、手軽に買えるのが「Chabacco」の大まかな正体だ。

お茶とタバコといえば、共通するのはどちらも「一服」のアイテム。ひと休みタイムの両巨頭といえる。ただタバコは昨今肩身が狭いが、Chabaccoはかなり肩身が広い。
なぜなら静岡県内を中心に東京、神奈川、大阪など全国に約30台の自動販売機を設置、現在年間10万個以上も生産されているのである。
それでは、さっそく私もひと休み。Chabaccoで一服といたします。おせんべい、チョコかきの種を添えました。(甘辛、甘辛したくなります)

緑茶は、渋味成分であるカテキンが血中コレステロールや体脂肪を低下させ、うま味成分のテアニンはリラックス効果があると言われるなど、健康増進に大いに力を発揮している。

静岡県掛川市の高級茶葉でつくられている

このスティックは、静岡県掛川市の高級茶葉でつくられ、品質の高い粉末茶というのはお湯をついでからの香りで察するのであります。
実は私も山間にある掛川市東山の茶畑を見に行きましたが、ただただ整然と美しく、澄んだ空気とその光景に驚きました。そして生産している人たちが元気、元気。

世界遺産にも認定されている「茶草場農法」

静岡県掛川市東山をはじめ、Chabaccoで使われているお茶は、茶園周辺の草刈り場でススキやササなどの草を刈り取り、それを堆肥として土に敷く「茶草場農法」という世界遺産にも認定されている手間のかかる農法でつくられています。茶草は有機物を供給し土に力をつけ、また、地温の調整、土壌の水分を保持するなど、先人から受けついだ知恵そのものなのです。生産者は刈り入れが終わって休む間も無く茶草づくりをします。この手間暇かける仕事が品質の良さの証なのでしょう。

タバコパッケージによるお茶は史上初

1980年代に誕生した自販機でのお茶飲料、最初は缶入りでスタートし、90年代に入るとペットボトルに移行。この自販機のお茶の歴史で、タバコパッケージによるお茶販売というのはこの「Chabacco」が史上初だと思うけど、では、見た目はたばこ箱、中身は粉末茶、自販機で販売というアイデアを誰が考えたのでしょうか?
それは株式会社ショータイムの代表取締役の森川翔太さんです。ショールームを兼ねた本社は茶畑の広がる東山にあります。

森川さんはお隣の袋井市で生まれ、専門学校卒業後東京で10年間広告関係の仕事に携わり「世界に日本のいいものを紹介したい」と独立して会社を設立。アメリカで農業を勉強し、そのとき周りの人たちに日本から持ち込んだお茶を飲んでもらったらびっくりするほど喜んでくれたのがお茶の世界に飛び込むきっかけといいます。東山に移住し古い民家をリノベーションしてスタート。

オフィスには生産者の子どもたちが学校を終えると、よく遊びに来るという。

どうして「Chabacco」?

森川さんに伺いました。

「僕より若い世代は急須を持たない人が多く、急須で入れたお茶の味は知っていてもたいがいはペットボトルで済ましています。だったら粉末茶で良い商品をつくろうと、『世の中を、”茶化”そう』(笑)。そんなコンセプトで考え始めました。掛川市産100%の高級茶葉を使用し、水かお湯さえあれば、いつでも、どこでも本格的な日本茶の味わいをお楽しみいただけ、これだと急須のお茶と比べても遜色ないほどのおいしい粉末茶になります」

パッケージデザインも自分で

「持ち運びの良さからタバコの箱の大きさにし、パッケージもタバコを思わせるデザインにし、それを販売するためにちょっと古い廃棄予定だったタバコの自動販売機を探しました」

2018年1月に「まずはお土産に」とJR掛川駅の土産物店に並び、その後は、音楽フェスなどでも若者たちが物珍しそうに買っていく姿が見られるようになり、YouTuberたちや静岡県住みます芸人「ぬまんず」もCheeky’s Channelの動画やSNSで取り上げ、注目度が高まっていきます。

広がる「Chabacco」

2020年以降、森川さんは、掛川市以外のお茶の産地の企業や店舗とのコラボレーションも積極的に行い、川根茶や足柄茶、沼津茶、南部茶(山梨県南部町)などを使ったご当地ならではのチャバコを誕生させています。2020年12月から販売が開始した伊豆箱根鉄道のチャバコも話題です。
「僕は、産地ごとの特徴やこだわりを手軽に飲み比べできてこそ、お茶のおもしろさがより一層お客様に伝わると思っています。商品のパッケージ規格が同じであれば、モノ(販売什器など)や情報(ノウハウ)を茶産地ごとの垣根を越えてシェアできますし、お茶業界にシェアリングエコノミー(モノ・サービス・場所などを、多くの人と共有・交換して利用する社会的な仕組み)の概念を取り入れることが、お茶業界全体の活性化に繋がっていくと思っています。おいしい日本のお茶をさらに広げていきたいですね」

いずこも「デザインがいい。粉末で気軽に飲めるのもいい」と気に入られ、若い世代から年配者まで購買層も広く、「Chabacco」ブームは熱を帯びている。日本の地域活性と同時に世界進出もそう遠くはないはずだ。

((スペック))
「Chabacco」4種セット
価格:3,000円(税込・送料込み)
ご購入はこちら

原材料名:茶(静岡県掛川産)、有機玄米(国
内容量:粉末スティック茶
①茶草場深蒸茶:1箱(8スティック・8g)
②茶草場ほうじ茶:1箱(8スティック・8g)
③有機煎茶:1箱(8スティック・8g)
④有機玄米茶:1箱(8スティック・8g)
商品サイズ:22.5 x 10 x 2.5 cm
保存方法:高温多湿を避けて保存
販売元:株式会社ショータイム
    http://www.showtime-j.com
加工所
川根インダストリー株式会社
静岡県榛原郡川根本町東藤川2026-1
株式会社テクノパック
静岡県袋井市新池1393-1

文:作並太郎(本名:松木直也)
1955年生まれ。宮城県仙台市出身。桑沢デザイン研究所卒。宮城大学大学院食
産業学研究科修士過程修了。(専門分野:食育)
1979年より平凡出版社(現・マガジンハウス)の雑誌編集者及びライターとし
て「ポパイ」「ブルータス」などに携わり、音楽や食の関係者のインタビュー
を行う。のち様々な企業誌の編集長を歴任。
90年代後半三國清三シェフとのフランス取材において、ジャック・ピュイゼ教
授(フランス味覚研究所創設者)の「食育メソッド」の提唱を知り、2000年よ
り三國シェフの子どもたちの食育活動をサポート。
現在、東京都市大学付属小学校での食育授業(4年生・年12回)の「ミクニレ
ッスン」は11年目を迎えた。
吉本興業の新宿本社農園で栽培しているイチゴやトウガラシで食育活動を実施
し、「新宿よしもと唐からし」を商品プロデュース。
著名人の伝記も手がけ、著書に「ミクニの奇跡」(新潮社)「加藤和彦ラスト
メッセージ」(文藝春秋)「アルファの伝説 音楽家村井邦彦の時代」(河出書
房新社)がある。

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