季節はずれの『冷やし中華』を「讃岐茶ざる おっちゃん」でつくってみた。

今回は香川県三豊(みとよ)市にある瀬戸内讃岐工房株式会社の「讃岐茶ざる おっちゃん」という、誠にあっさりとしたおいしい麺の紹介となります。
おいしい食べ方を教えてくださったのは、エンゼルスの大谷翔平選手に似ている30歳の副社長、豊永翼さん。

お笑い好きの豊永翼さんは、千鳥とジャルジャルのファンで、吉本新喜劇では小籔千豊さんが好きだそうです。

ZOOM取材中、彼から「この麺は冷やし中華にも合います」の一言で、急に季節外れの『冷やし中華』を食べたくなり、ならば、ベストな具材は何か?錦糸卵、ハム、キュウリを超えるものはあるのか、と考え出したら、食べたいのが止まらなくなりました、というのが、今回の話です。

「讃岐茶ざる おっちゃん」の「おっちゃん」とは誰しもがおじさんのことと思いますが、豊永さんの会社ではお茶の麺のことをそう呼んでおり、餅を使った商品は「もっちゃん」、すだちだと「すだっちゃん」と”ちゃん”づけが好きな会社なのであります。

早く食べたい冷やし中華

町の中華屋さんに冷やし中華が初お目見えになると「おー冷やし中華だ、いっちゃおう」という人もいるが、「また、今年もはじまったわね。でも、今度にする」と、一歩引く人が少なくない。

それは、お酢の効いたタレとカラシのあいまった具材、麺との三位一体の味にまだ心の準備ができていないというのもあるが、大概は「ニラレバと餃子を食べたくて来たんだもんね、今、ここでくつがえすことは、私は無理、絶対に無理」となる。

これは優柔不断な自分を嫌悪する人に多いのだが、しかし「そのうち家でつくろうっと」となり、冷やし中華問題は一気に解決に向かう。

さて、「讃岐茶ざる おっちゃん」は瀬戸内讃岐でつくられている。讃岐といえば「うどん」ですが、なぜに「茶ざる」かというと、豊永さんはこう説明してくれました。

「三豊には名の知れた高瀬町というお茶の産地があり、この高瀬茶を練り込んだ茶ざるは、香川県の西の方では昔からソウルフードでした」

高瀬茶は、少し渋みが強く、渋みに負けないうま味があり、淹れるときの適温は70°。急須で1分半ほど茶葉を蒸すと美味しいらしい。(前回の茶師十段、池田研太さんの話、まだ引きずっています)

で、豊永さんにいろいろ聞くと「かつてこの商品は『生細うどん・中華麺』と呼んでいたことがあります。材料の小麦粉にかん水を混ぜていますから、かん水を使うと中華麺ということになり、これはうどん粉に緑茶の粉末を練り込んだラーメンなんです」。

つまり、「讃岐茶ざる おっちゃん」は、そばではなく、うどんなんだけど、本当はラーメンです、ということになる。

茶ざると聞けば、そばと思うが、さにあらず。讃岐の常識はうどん
香川県三豊市にある工場。三豊市出身で一番有名なのは俳優の要潤さん

いつもココロに冷やし中華

続いて、おいしい食べ方について、「冷やし中華にも合います」と教えてくれ、私は急にドキッとし、冷やし中華という手があったかと。夏じゃなくても食べたくなるときがあるんだよ、季節はずれがニクいんだ、と思う。

そして、冷し中華になくてはならない具材を考えはじめた。このテーマ、居酒屋なんかで友人と飲んでいるとき話題にし、「クラゲどう思う?」とか、「モヤシは?」など、こんなささやかなことで盛り上がっていましたが、今はコロナ禍で、ここはみなさんとご一緒にベストな具材、これは許す、断固許さないの具材を考えていただだけたら幸いです。

私はさっそく東海林さだお先生の、丸かじりシリーズ23巻「ホットドックの丸かじり」(朝日新聞社発行2005年5月)を手にし、冷やし中華のエッセイ(146頁〜151頁)を読みはじめた。147頁にバブル時代の頃の冷やし中華の絵が載っている。一皿に乗っかっている具材が凄いぞ。これ全部なんです。

ジャーン!

ワカメ
ウズラ
キュウリ
エビ
チャーシュー
クラゲ
カニ
ハム
キヌサヤ
イカ
シイタケ甘煮
アワビ
ハルサメ
カラシ
紅生姜

これ以外では文章に
錦糸卵
蒸し鶏
カニカマ

さぁどうしようか?これから私、具材の買い物に行って、冷やし中華をつくるのですが、あなたなら、どうします?

どうしても高いものが気になりますが、まず、アワビは「ありえなーい」、「そんな高くつくのありえなーい」で除外。(異論なし)

続いてシイタケ甘煮、「干し椎茸から戻して煮てなんて、めんどくさーい」で除外。(ここも異論なし)

続いて「チャーシューとハム、二つ入れてもいいけど、チャーシューのおいしいのがなかなか売っていなーい」とハムをドラフト1順目で選択。(ハムだけに日ハムか)

次は錦糸卵、「卵焼きつくるの面倒だけど、ここはないとおいしくなーい」と、これはつくることにし、錦糸卵はドラフト2順目で選択。よって「錦糸卵があるならウズラいらなーい」となりウズラ除外。

ここからは懐具合と好みのつばぜり合いで「エビ、クラゲ、カニいらなーい」となり「クラゲが入った冷やし中華は食べたことあるけど、だからなんなのよ。カニ、もちろんいらないでしょ」と冷徹だな。で、エビ、クラゲ、カニ除外。(エビは最後まで迷うが、売っている冷凍エビは量が多いので簡単に諦めがつく)

ここからはざっくりと「キヌサヤイカハルサメ」と早口言葉で除外。

ワカメは?「今日は特にいらない」となる。この気持ちわかっていただけるだろうか?「今日は特にいらない」と言っているけど、本当は「私は、ワカメは体にいいし気にはしているけど、冷やし中華に特に合うとは一度も思ったことがない。」という意味なのである。で、育成枠にしておく。困ったら呼ぶからねである。そのとき給料あがるからね、である。

さぁここでキュウリが登場。この日本で冷やし中華にキュウリをのせるのは嫌だという人はいるだろうか?たまにウリ類全部苦手という人はいるが、しかし、キュウリのない冷やし中華なんて、である。そのあとは言わない。だってクリープを知っている人が少なくなったから。キュウリ、ドラフト三順目で獲得しました。

蒸し鶏は?いかに

最後に大きな問題が待ち受けていた。それは蒸し鶏だ。入れたらとうまいけど、今回のタレは酢醤油系と決めたので、蒸し鶏はどっちかというとゴマだれに合うような気がするんですよね。

ラー油なんかゴマだれにたっぷりかけて、おいしいんだよね。どうせ蒸し鶏を食べるなら、それだけで単品にして「口水鶏(コウシュイジー)」か、何なら揚げた「油淋鶏(ユーリンチー)」にしようか、などと屁理屈つけて除外。

本当は鶏肉買ってきて蒸して、切り身をちぎってという作業が面倒くさいんです。

結局、具材はハム、錦糸卵、キュウリとなりこれから買い出しに行きますが、カラシ、紅生姜もメモし、忘れるな!と書く。どうだろう、このライナップ「ワカメぐらい入れたら」という声が聞こえますが、今回は断固、これでいこうと思います。

【讃岐茶ざる おっちゃんの冷やし中華】

材料:「讃岐茶ざる おっちゃんの麺1人前(100g)」、ハム、タマゴ、キュウリ、カラシ、紅生姜。

タレは「讃岐茶ざる おっちゃん」についていたタレがおいしくて、ママイキです。が、以前紹介した「大宜味村産押川シークヮーサー」を少々加えました。

つくり方:沸騰した1ℓのお湯に麺(をほぐしながら入れて、2〜3分ゆでる。麺を水洗いしざるで水切りしてお皿へ。丁寧につくった錦糸卵、適当に切ったハム、キュウリをどばっとのっけ、タレをたっぷりかけて出来上がり。カラシはツーンとくるやつ、紅生姜は赤いやつ。

やはり、食べたいときがうまいとき。(カラシを買い忘れ、さっき近所のコンビニで買いました)で、「讃岐茶ざる おっちゃん」の麺なんですが、くせがなく、歯応えも、のどごしも、後味もよく、やはり讃岐は侮れない。

今回は以上ですが、「カニカマ入れたでしょ」という声が聞こえます。

冷やし中華の場合、ハム、錦糸卵、キュウリと決めても本当にそれだけでいいのかっていつも迷うんです。優柔不断は親ゆずりです。で、カニカマ買いました。

最近のカニカマ、本物のカニとはまた違うカニカマ独自の味わいがあって、邪魔にならないし、強力な助っ人になりました。(よかった、よかった)
これは外人枠としての獲得ですね。

文:作並太郎(本名:松木直也)
1955年生まれ。宮城県仙台市出身。桑沢デザイン研究所卒。宮城大学大学院食
産業学研究科修士過程修了。(専門分野:食育)
1979年より平凡出版社(現・マガジンハウス)の雑誌編集者及びライターとし
て「ポパイ」「ブルータス」などに携わり、音楽や食の関係者のインタビュー
を行う。のち様々な企業誌の編集長を歴任。
90年代後半三國清三シェフとのフランス取材において、ジャック・ピュイゼ教
授(フランス味覚研究所創設者)の「食育メソッド」の提唱を知り、2000年よ
り三國シェフの子どもたちの食育活動をサポート。
現在、東京都市大学付属小学校での食育授業(4年生・年12回)の「ミクニレ
ッスン」は11年目を迎えた。
吉本興業の新宿本社農園で栽培しているイチゴやトウガラシで食育活動を実施
し、「新宿よしもと唐からし」を商品プロデュース。
著名人の伝記も手がけ、著書に「ミクニの奇跡」(新潮社)「加藤和彦ラスト
メッセージ」(文藝春秋)「アルファの伝説 音楽家村井邦彦の時代」(河出書
房新社)がある。

(商品スペック)

讃岐茶ざる おっちゃん
価格:378円(税込) ※別途、送料

内容量:320g(麺100g×2個、つけつゆ60ml×2袋)
原材料名:【めん】小麦粉(国内製造)、食塩、茶(高瀬茶)/酒精、かん水、焼成カルシウム、クチナシ色素、加工デンプン 【つゆ】しょうゆ(国内製造)(本醸造)、糖類(果糖ぶどう糖液糖、砂糖)、かつお節エキス、食塩/調味料(アミノ酸等)、アルコール、カラメル色素、酸味料、(一部に大豆、小麦を含む)
賞味期限:製造日より60日
販売者:瀬戸内讃岐工房株式会社
香川県三豊市財田町財田上6373-1
http://seimenya.com/onlineshop/products/list.php

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