埼玉県吉川市、十八屋の「なまずコーラ」、開発には猫も参加したのかな?

埼玉県エリアマネージャー、覚野公一さんから埼玉県吉川市には「なまずコーラ」があるということで、さっそくJR吉川駅まで買いに行きました。東京駅から赤羽、南浦和で乗り換えて52分。車中、最近のコーラ事情を調べると、日本全国に変わり種コーラがいろいろあることを知る。

「うめぼしコーラ」、「たくあんコーラ」、「わさびコーラ」、「辛子めんたいコーラ」、これは静岡県にある木村飲料「前人未到の新感覚コーラ」のシリーズ。凄いとしかいいようがない。

それから、ニンニク入りの「ジャッツ タッコーラ」(青森県・田子町ガーリックセンター)、天然水で炭入りの「日本のコーラ」(大阪府・能勢酒造)、はっさく果汁をつかった「広島コーラ」(広島県・齋藤飲料工業)、カレーソース風味の「金沢カレーコーラ」(富山県・トンボ飲料)というのがあった。

以上驚きの連続だったが、魚をつかったコーラはこの「なまずコーラ」だけだと思う。

吉川駅南口には金色に輝くなまずのモニュメントがあり「なんで、そこまで『なまず』なのか?」というと、吉川市は、なまずで町おこしをおこなっているのであった。さっそく駅近くの〈ラッピーランド〉で「なまずコーラ」を購入。270円だった。

街なかには、なまずの天丼(ず丼)や蒲焼などが食べられる専門店〈ますや〉、〈糀家〉、〈福寿家〉などがあるが、タイミングが悪くほとんどの店が定休日。 そこでラーメンでも食べようと偶然に入った中国料理店〈萬万亭〉のメニューに“全国なまずサミットでグランプリ獲得”「なまず春巻き」(500円)があった。食べてみると黒酢がけであっさりとしパクチーと相性がよかった。なまずを食べたことがない人のために言っておくと、フィレオフィッシュを想像して欲しいのだが、なまずは実に美味しい。ちなみにアメリカ南部のソウルフード、キャットフィッシュフライはブラックペッパーとクレイジーソルトで食べる。「なまず春巻き」は、やわらかな白身のミンチが春巻きのパリパリと合う。〈萬万亭〉はよく考えたものだ。

〈萬万亭〉「なまず春巻き」(500円)

帰りの車中で、気になった“全国なまずサミット”を調べる。

全国なまずサミットとは、なまずで町おこしをしている市町村が集結したもので、「なまずのハンバーガー」を売り出す茨城県行方市、「なまずまつり」を開催する岐阜県羽島市、なまず料理の普及を図る福岡県大川市、「白なまず伝説」がある佐賀県嬉野市など全国のなまず関係者が集結したものだ。

ところで、コーラマニアにとって、「甘味」「酸味」「スピード(のどごし」「爽快感」「攻撃力」「特殊能力」といった基準評価があるらしい。「なまずコーラ」はネーミングからだと「爽快感」は劣るが「特殊能力」は満点であろう。ところで誰がなまずでコーラを考えたのか?販売元の十八屋の石井和也社長が苦労した点を笑顔で話してくれた。

「吉川産の養殖日本なまずを仕入れて、さばいて、蒲焼サイズにカットします。で、この切り身を七輪で焼いて、脂を落とし、乾燥用ネットに入れて高い位置で干すのですが、手前に台を置いていたら猫が努力して台に登り切り身を食べていました」

乾燥により、なまずに含まれる脂と水分がさらに落ちる。このあたりで猫が食べた。乾燥中のなまずの臭いに負けたからであろう。石井社長は猫は努力していたという。なまず2尾(約2.5kg)で粉末になるとコーラ2000本分とのこと。

この「なまずコーラ」、最初、埼玉県の食のフェアに出展したら、お客さんが凄く嫌な顔をしてひきつっていたそうだ。

しかし……、と石井社長は語る。

「これがお好み焼きやたこ焼きの屋台が並ぶお祭りだと、なぜか売れる。お祭り気分だと気を許すんですかね」

元々、製造元の関係者が「静岡県浜松市にうなぎパイがありますが、吉川市は、なまずで何かできないか?ということになり、行政も関わってなまずエキスを注入したコーラを開発しました」という。

そして石井社長はこう語る。

「いろんなところで販売してみて、好き嫌いの振れ幅が10人に9人が嫌な顔をするとしたら、やはりこれはインパクトがある証拠です。これで埼玉県吉川市を覚えていただければ幸いです」

吉川市は、東に江戸川、西に中川が流れ、江戸時代から舟による運搬が発達し、川とともに栄え、川魚料理という食文化が根付き、「吉川に来て、なまず・うなぎ食わずなかれ」といわれるほどになった。

これからは「吉川に来て、なまずコーラを忘れるなかれ!」ではないのでしょうか?

なまずコーラの味は、なまずの味はしません。どんな感じかというと、かつて駄菓子に置いてあったような、ちょっと甘めの懐かしい昔のコーラ。「酸味」「スピード(のどごし」は市販されている普通のコーラと変わりなし。

「攻撃力」は、同じ髭ものの猫には負けたと思います。

商品名:「なまずコーラ6本セット」(300ml瓶×6本入)
     販売価格(税込)※配送料込み 2,700円

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原材料:果糖ぶどう糖液糖(国内製造)、砂糖、なまずエキス/炭酸、カラメル色素、酸味料、香料、カフェイン

販売元:株式会社十八屋
埼玉県吉川市美南5丁目26番地5
http://www.18ya.jp

製造元:有限会社戸田乳業 
埼玉県秩父郡小鹿野町小鹿野1046-1
https://www.todamilk.com

なまずについて

なまずは河川や湖沼に生息する淡水魚(川魚)で、全長40〜50センチ、良質なタンパク質と脂質、そしてビタミンB1が豊富で老化を予防する。世界を見渡すとアジア地域(中国、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、インド)、アメリカ、アフリカ(ナイジェリア、ウガンダ)などで養殖され、フライ、ソテー、ムニエルなどで食されている。

料理でポピュラーなのはアメリカ南部の「キャットフィッシュフライ」、中国四川の「水煮鯰魚」、ベトナム・ハノイの「チャーカー」(なまずの油揚げ鍋)ハンガリーの「ナマズのパプリカ煮込み」などがある。

日本で食用として利用しているのは、埼玉、群馬、茨城、栃木、岐阜など限られた地方だが、どのようにして食べられているかというと、「なまずのすりみ汁」、「天ぷら」、「煮付け」、「さしみ」、「たたき」、「姿揚げ」、「味噌汁」、「かばやき」などで、滋養があり、ハレの日の御馳走でもあった。

文:作並太郎(本名:松木直也)
1955年生まれ。宮城県仙台市出身。桑沢デザイン研究所卒。宮城大学大学院食
産業学研究科修士過程修了。(専門分野:食育)
1979年より平凡出版社(現・マガジンハウス)の雑誌編集者及びライターとし
て「ポパイ」「ブルータス」などに携わり、音楽や食の関係者のインタビュー
を行う。のち様々な企業誌の編集長を歴任。
90年代後半三國清三シェフとのフランス取材において、ジャック・ピュイゼ教
授(フランス味覚研究所創設者)の「食育メソッド」の提唱を知り、2000年よ
り三國シェフの子どもたちの食育活動をサポート。
現在、東京都市大学付属小学校での食育授業(4年生・年12回)の「ミクニレ
ッスン」は11年目を迎えた。
吉本興業の新宿本社農園で栽培しているイチゴやトウガラシで食育活動を実施
し、「新宿よしもと唐からし」を商品プロデュース。
著名人の伝記も手がけ、著書に「ミクニの奇跡」(新潮社)「加藤和彦ラスト
メッセージ」(文藝春秋)「アルファの伝説 音楽家村井邦彦の時代」(河出書
房新社)がある。

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