福島県本宮市の〈糀和田屋〉さんの甘酒4種(プレーン、いちご、ゆず、もも)。飲んでもよし。調味料としてもよし。

〈糀和田屋〉さんは、創業1771年(江戸時代、明和8年、将軍は徳川家治)の老舗、十代目になる代表取締役の三瓶正人さんが、自社の甘酒について、こう話してくれた。

「甘酒は2つのつくり方があり、材料が米こうじだとノンアルコール、酒粕だとアルコール成分を含みます。弊社は2012年から地元のお米やフルーツを材料に試作を繰り返し、ノンアルコールでフルーツシリーズを14年に商品化しました。お客さまから『あの、つぶつぶが苦手』という意見がヒントになり、出来る限りさらさらにしてみました。これだと冷やして飲んでもいいし、シャーベットでも美味しくいただけます。」

今やいろいろな甘酒を目にするが、甘酒ブームは、2016年12月にNHKのテレビが朝の情報番組で特集を組んだのが火付け役らしい。その前に、塩こうじが2010年にブレイクしたのも記憶に新しいが、ここ10年間でこれまでに増して我々は免疫力アップを意識し“米こうじ”を摂取するようになったのである。

さっそく糀和田屋さんの手造りのノンアルコール甘酒4種(プレーン、いちご、ゆず、もも)をひと通り飲んでみたが、フルーツの味がしっかりとして、糀の粒も滑らかで、このサラサラ感は野菜サラダのドレッシングにまんま合うとピンときた。で、思うがままにつくってみました。

甘酒ゆずのドレッシング

材料:甘酒ゆず(大さじ5)、オリーブオイル(大さじ4)、お酢(大さじ1)、塩、コショウ少々。お酢の分量は酸味を強くしたいならば、大さじ2〜3。攪拌に便利なのは100円ショップで売られている取っ手がつきの小さな瓶。これでシャカシャカしました。ライトな仕上がりで、これは常に用意したいと自画自賛。

で、ときにはしっかり朝ごはんを食べたくなるときがあります。そこでオムレツとサラダ、カリカリベーコンをたっぷりでガッツリ系になりました。

たまにはしっかりつくるモーニング

材料:野菜、ニンジン、キャベツ、トマト、ピーマンなど。(袋入りの便利なのでもいいね)、ベーコン、タマゴ2個、ツナ缶小1、チーズ、ケチャップ、塩、コショウ、パン。
つくり方:①ベーコンをフライパンでカリカリにしカットしておく。ペーパーナプキンでベーコンからでた脂を切る。
②タマゴ2個をといて、ツナとチーズを加え塩コショウし、オムレツをつくる。(割と大胆に)
③盛り付けはサラダにベーコンのカリカリをのせ、そこに甘酒ゆずのドレッシングをたっぷりかけ、オムレツにはケチャップ。

ゆずの酸味がカリカリベーコンに合いますよ。(自己評価98点)ぜひトライしていただきたい。

米こうじの魅力
米こうじは大量の酵素をつくり出し、米のでんぷんやたんぱく質を分解し、エネルギー代謝を助けるビタミンB群なども含み、素早く、効率よくエネルギーになり、疲労回復やかぜ予防に効果があるのだが、料理の調味料としては甘みやうま味を引き出す。そこで調子にのって弁当をつくってみた。

鶏もも肉を甘酒(プレーン)に漬ける
なぜかこんなことをしているだけで、美味しくなる魔法にかけた気分になるのだ。ただ漬け込んでいるだけなのに、柔らかく、おいしくなる。

材料:甘酒(プレーン)1袋(160g)、鶏もも肉2切れ(100g)

甘酒で味付けのタマゴと鶏のそぼろ弁当

材料:タマゴ1個、とりひき肉100g、鶏もも肉100g、ネギ、紅ショウガ、ご飯1膳、調味料に甘酒(プレーン)、オリーブオイル、醤油、塩少々。

つくり方:①容器にご飯を盛り付ける。
②フライパンにオリーブオイルをたらりし、とりひき肉を入れ、甘酒(プレーン)と醤油を大さじ2、塩少々を加え、箸で混ながら炒める。しっかりと火が通ったら、ご飯にのっける。
③タマゴを落とし、甘酒(プレーン)と醤油を大さじ2、箸でグチュグチュタマゴ(そぼろ)にする。出来上がったらご飯にのっける。
④漬け込んだ鶏もも肉を、弱火でゆっくり焼きあげる。途中、中火にしたり、焼き加減を調整しならが、ネギも焼きはじめる。共に表面を焦がさないように鼻歌なんかもありで見守る。
⑤焼き目が付いたら、塩をぱらりする。鶏ももは食べやすい大きさに調理用ハサミでカット。ご飯にのっけ、最後に紅ショウガを適量。

このお弁当は冷えてもご飯に汁が染み込んでうまい。(食べたいときがうまいときで自己評価99点)

糀和田屋さんの老舗力
ところで、我々は味噌、醤油、納豆、お酒、みりん、お酢、甘酒をふくめ発酵食品をこよなく食べている。

発酵は冷蔵庫や保存料などの無かった時代に、食品を長く保存するための方法として発見されたのだが、糀和田屋さんの創業250年という長い歴史のなかで“こうじ屋”として地元ではどんな役目があったのだろうか?福島のこうじ味噌はうまいと言われている。

糀和田屋の三瓶さんに伺う。

十代目になる代表取締役の三瓶正人さんは発酵ソムリエであり、味噌製造一級技能士。

 「まずは、地元の農家さんの雑穀や麦、大豆などを貯蔵する蔵を所有し管理することが仕事でした。その後、農家さんは毎年田植えの前に味噌つくりをはじめるのですが、昔は煮豆を大きな桶にとって、ワラぐつで踏みつぶしていました。全部自分に家でつくるところもありましたが、私どものような、こうじ屋に仕込みを委託するところもありました。そのようなことから、これまで地元の味噌、醤油などの醸造にかかわってきました」

福島農家の甘酒づくり
ところで、かつて福島の農家で甘酒はどこの家でも一冬に何回もつくられていたという。
ある農家の記録をみてみると、「もち米一升、こうじ2升の割合で、もち米をご飯と同じ水加減でかまど炊飯し、よく蒸らし、人肌程度になったらこうじ菌をよく混ぜる。それを6枚箱に分けて、コタツの脇において、ふとんをかけて温度を保つ、3日経つとこうじになり、それを炊き上がったもち米によく混ぜて、朝仕込むと夕方には甘酒になる」 手間がかかるんですね。また、この甘酒は元気の源だったのであろう。

真っ白なこうじ、きれいなんですね。

こうじ一筋、老舗のまごころ
ちなみに糀和田屋さんは今も昔ながらの木の樽で1年間発酵させたもので天然醸造味噌をつくっている。その伝統とこだわりの一手間が甘酒にも引き継がれていることは言うまでもない。
それはここの甘酒はこうじだけで仕込むのではなく、あえてお粥をつくってからこうじを加えて糖化させているのだ。もちろん砂糖もくわえていない。だからか、濃縮でサラサラな原液に果実がしみわたり、舌ざわりのいいまろやかさを出しているのであろう。この糀の粒を滑らかにして飲みやすく仕上げたのは、こうじ一筋、老舗のまごころと思われます。

文:松木直也

(商品紹介)
甘酒(プレーン)302円(税込)
原材料名:米こうじ、米(国産)、ビタミンC

フルーツ甘酒(いちご)302円(税込)
原材料名:米こうじ、米(国産)、いちごピューレ(いちご(国産))、ビタミンC


フルーツ甘酒(ゆず)302円(税込)
原材料名:米こうじ、米(国産)、ゆず果汁(ゆず(国産))、ゆず(国産)、ビタミンC

フルーツ甘酒(もも)302円(税込)
原材料名:米こうじ、米(国産)、桃果汁(桃(国産))、酸味料、酸化防止剤(ビタミンC)

内容量:160g
賞味期限:製造日より180日
別途商品ラベルに記載
保存方法:直射日光・高温多湿を避けて保存してください
※開封後は冷蔵庫(10℃以下)で保管し賞味期限にかかわらずお早めにお召し
上がり下さい。
使用方法:冷やしてよく振ってから封を切りコップに移すか、ストローを使用してお飲みください。
製造者:(有)糀和田屋
〒969-1134福島県本宮市本宮字上町22
http://www.koujiwadaya.co.jp

文:作並太郎(本名:松木直也)
1955年生まれ。宮城県仙台市出身。桑沢デザイン研究所卒。宮城大学大学院食
産業学研究科修士過程修了。(専門分野:食育)
1979年より平凡出版社(現・マガジンハウス)の雑誌編集者及びライターとし
て「ポパイ」「ブルータス」などに携わり、音楽や食の関係者のインタビュー
を行う。のち様々な企業誌の編集長を歴任。
90年代後半三國清三シェフとのフランス取材において、ジャック・ピュイゼ教
授(フランス味覚研究所創設者)の「食育メソッド」の提唱を知り、2000年よ
り三國シェフの子どもたちの食育活動をサポート。
現在、東京都市大学付属小学校での食育授業(4年生・年12回)の「ミクニレ
ッスン」は11年目を迎えた。
吉本興業の新宿本社農園で栽培しているイチゴやトウガラシで食育活動を実施
し、「新宿よしもと唐からし」を商品プロデュース。
著名人の伝記も手がけ、著書に「ミクニの奇跡」(新潮社)「加藤和彦ラスト
メッセージ」(文藝春秋)「アルファの伝説 音楽家村井邦彦の時代」(河出書
房新社)がある。

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