秋田発、いぶりがっこソーセージは、「しったげうめぇ!」一度食べてみる価値アリ!

漬物王国秋田にて、ソーセージに「いぶりがっこ」を練り込み、新たな名産品
づくりに挑んだ男がいる。さっそく紹介しよう。その名はミスター・タベルス
キ・マイケル(Michał Taberski )、ポーランドの方である。
タベルスキは本名で、ポーランドでは120人ぐらいしかいない珍しいファミリ
ーネームだそうだ。地元秋田では、「しったげ(とっても)うめぇ!」 ソー
セージをつくる彼の名前は“食べる好き、うまいケル”と覚えられている。

彼が秋田でつくるソーセージは、2017年ドイツ農業協会(DGL)国際食品品質協議会で金賞をとり、そのおいしさと品質の高さが、ソーセージづくりの本場・ドイツの基準でも認められ今もグイグイいくマイケルさんは、ソーセージ職人の叔父さんこそいるが、元々ソーセージの道へ進むことなど、少しも考えたことがなかったそうだ。

ポーランドの大学では物理学を専攻し、また、デスメタルのバンドでドラムを担当していた。2003年8月に来日したのだが、そのワケはポーランドで知り合った秋田出身の奥様を愛してやまない事情からであった。
ソーセージづくりにたどり着くまで、秋田では山あり谷ありだった。

「来日から10年間は、ツイていないことばかりが続いた」

横浜で1年間飲食店のパートで働きながら日本語の勉強。その後奥様の実家がある秋田へ移住。近隣のでかい工場でエンジニアとして3年間働く。次にクリーニング店で5年。退社したのは世話になっていた社長の他界による。そしていよいよ一人でポーランドからサラミを輸入する商売を始めた。近隣のスナックなどへ売り歩き、その人柄もあいまって順調だったが、ヨーロッパで起きた家畜伝染病、豚コレラが発生し販売を断念せざるを得ない状況に陥った。

「サラミを輸入して、みんなポーランドのは柔らかくておいしいと言ってくださって、売り上げも1000万円ぐらいになってこれからだという2014年2月にポーランドでアフリカ豚コレラ(ASF)が発生して豚肉の輸入が禁止になりました。テレビの取材もボツになって、頑張った3年間がゼロに戻ってしまった。
ここで自分は何もできないのではと、落ち込んだけど、空手を習ったことで武士道を知りマインドがリセットされました。コツコツやればなんとかなると。

そんなときに、知り合いの町の肉屋さんが『マイケル、おいしいソーセージをつくれば』と言ってくれ、僕は流れにのって『ハイ、やります』と答えたんです(笑)」

すぐに自宅のガレージをソーセージ実験工場に改築し半年間つくり続ける。
しかし、人生とは不可思議なものだ。長いトンネルを抜け出すと何かが待っている。

マイケルさんは秋田の大仙市に奥様と高校生の娘さんと暮らしている。娘に本
物のソーセージを食べさせたいというのが、頑張りのエンジンになった。

ここからの話が面白い

「ある本を読んだら、『半年かければどんな分野でもプロになれる』というのが目に止まって、よし、ソーセージをやってやろうと思ってスタートしましたが、最初は鳥のセキレイがつまみにきて、次にカラス、ネコ、タヌキ、どんどん来るゲストが多彩になり、半年後にはおいしいソーセージになったんです。
それから東京の大手食品メーカーの技術者が添加物などの指導に来てくださって、もちろん肉屋さんが売ってくれて、まわりの人がよくしてくれたから、何とかかんとかなりました。
次に会社にすることを勧められましたが『じぇんこ(秋田の方言でお金)ねぇし、おら、マイスターでもねえがら』と無理と思いながらも銀行へ相談しにいったら、やっぱり相手にしてくれない(笑)。 そうしたら肉屋の社長がうちでも売るからと銀行に後押ししてくれて、銀行は国のものづくり補助金の申請に通ったら融資してくれると約束してくれました。これが奇跡的に通ってしまい、2010年に〈ポルミートPOLMEAT〉という会社ができました。僕の会社というより日本国がつくってくれたと思ってます」

現在、本店を横手市から大仙市に本店移転し、HACCP認証を取得。
資本金5000万円に増資している。

なにゆえに「いぶりがっこソーセージ」か?

ちなみに商品は「うま~いけるセット」や「しったげいける」など、ダジャレ混じりの親しみやすい名前が多いのだが、さてさて、なにゆえに「いぶりがっこソーセージ」をつくったのだろうか?

いぶりがっこは、秋田名物の大根の漬物。秋田では漬物のことすべてを「がっこ」と呼ぶのだが、がっこは漢字で書くと「雅香」(みやびやかで風流の意)となり、こんなことからもがっこへの思い入れが相当に強いことがわかる。

いぶりがっこは、いろりの上で大根をつるし、薪をたき、そのモクモクとした煙で薫製にして、ヌカで漬け込むのだが、炭火や煙の匂い、手で混ぜ込んだ感覚、完成を待つ気持ちなど、大きく「雅香」と例えた漬物王国の人々の五感はスンバラしい。

いぶりがっこ大好き地元人たちからたくさんの意見をもらった

マイケルさんは語る。

「なんでかというと、秋田のプライド、アイデンティティーを僕なりにつくりたかった。秋田と言えば、きりたんぽだけど、きりたんぽのなかにソーセージを詰め込んだけどお米との食感にピンとこなかった。

また比内地鶏もあるけど、これは高くて商品化してもとても売れるような販売価格になりません。

だけどいぶりがっこは、これはポリポリした食感もいいし、一番のチャレンジでした。いぶりがっこを細かくしたり大きくしたりソーセージとのバランスが難しく50回ぐらい実験しました。
ソーセージがおいしくできるといぶりがっこがおいしくなく、今度はいぶりがっこがおいしいと、ソーセージがおいしくない。そこで、いぶりがっこが大好きな人たちからたくさんの意見をもらって、プロセスチーズを加えてみたら、これがブリッジになっておいしいのができたんです」

どうです、みなさん、いぶりがっこソーセージの味の想像がつきますか?
さてここからは、マイケルさんに教わった、いぶりがっこソーセージのおいしく食べるための料理「タベルスキ風やきうどん」をつくりながらいろいろと味のお話ししたいと思います。

【タベルスキ流・いぶりがっこソーセージ焼きうどん】

材料:いぶりがっこソーセージ、しめじ茸、舞茸、タマネギ、玉うどん(稲庭)、大葉、塩少々、醤油、オリーブオイル、とうがらし。

作り方は簡単
①まず、いぶりがっこソーセージ2本を食べやすいサイズにカット。ソーセージはケチケチしないほうがいい。
②フライパンにオリーブオイルを入れ、中火でしめじ茸、舞茸、タマネギを塩をパラリし炒める。
③そこに玉うどん(稲庭)を投入し、弱火にして野菜類とまぜまぜする。少しとうがらしを入れる。(これはお好みで)
④いよいよカットした、いぶりがっこソーセージを投入。ここから大事なのは、ソーセージ表面のプロセスチーズがとろり溶けるように火を通す。そして醤油で味付け。感覚的にソーセージの表面の焼き具合がうまそうだ!と思ったら火を消し、刻んだ大葉をぱらり。ここまで約6分。

味見タイム
まずは、うどん、野菜類の醤油加減の味見をし、次にチーズがとろけているのを確認し、ソーセージを味見。うーん、思っていた以上に、このソーセージはイケる。まず、いぶりがっこからスモークと酸味がやってくる。このほどよい酸味が新鮮だ。ソーセージの脂質との相性がいい。そしてプロセスチーズのまろやかさが全体の塩っけと薫製味のアクセントになっていて、これは今までにないソーセージだ。いぶりがっこもソーセージもスモーク同士、これは合体したことによって風味が増していく相乗効果があるんだな。食感もソフトでもパリパリ感がある。

お皿に盛り付け、いただくと、醤油味の香ばしさとソーセージは、これはもう秋田のB級グルメで地元飲食店でメニュー化する予感がする。おそるべしタベルスキ、さすがタベルスキ。

余談になりますが、マイケルさんに秋田弁で一番好きな言葉を教えてくださいと聞いたら「まんず、まんず、まんず」。これは人が集まったところで、乾杯でもするときに喜びの表現だったり、「とりあえず」、「どうぞ、どうぞ」、「まぁまぁ」だったりする。まんず、まんず、奥様と知り合ってよかったですね。

ソーセージは焼くか、茹でるか?それが問題だ

さて、全国のソーセージファンに朗報があります。いつも今日は「茹でようか?焼こうか?ボイルかソテーか?」と悩む方も多かろうと思いますが、マイケルさんに教えてもらったのだが、まずはフライパンに水を少し入れてHOTになったらソーセージ投入。これだとソーセージに含まれている亜硝酸ナトリウムが抜け、安心なのである。

次にそのお湯を捨てて、そのまま火を通すのだ。

それで、ザワークラウトなんか、簡単につくれるので準備しておいてそのままフライパンに盛り付けて、いただくのであります。ソーセージ専用のマイフライパンなんかも用意してくといいね。(このフライパン570円でした)

ケチャップ、マスタードでいただきますが、粒マスタードかアメリカンなやつか迷う。また、コッペパンにはさんでホットドッグもいいね。

(商品スペック)

■しったげいけるセット 4,000円(税込・送料込み)
※ご購入はこちら


・内容
 ホワイトソーセージBOX(180g) ×1
 ビアマイスター(156g) ×1
 いぶりがっこソーセージ(175g) ×1
 モーニングウインナー(140g) ×1
 ベーコンブロック(200g) ×1

・保存方法
 冷蔵保存(10℃以下)
 開封後はお早めにお召し上がりください。

うま~いけるセット 6,000円(税込・送料込み)
※ご購入はこちら

・内容
 いぶりがっこソーセージ(175g) ×1
 ハンターソーセージ(160g) ×1
 ビアマイスター(156g) ×1
 ライムホワイト(156g) ×1
 フロマージュ(156g) ×1
 ベーコンブロック(400g) ×1

・保存方法
 冷蔵保存(10℃以下)
 開封後はお早めにお召し上がりください。

 製造者:株式会社IMIポルトミート大仙工場
     秋田県大仙市堀見内字穴沢3-1
     https://www.polmeat.jp

文:作並太郎(本名:松木直也)
1955年生まれ。宮城県仙台市出身。桑沢デザイン研究所卒。宮城大学大学院食
産業学研究科修士過程修了。(専門分野:食育)
1979年より平凡出版社(現・マガジンハウス)の雑誌編集者及びライターとし
て「ポパイ」「ブルータス」などに携わり、音楽や食の関係者のインタビュー
を行う。のち様々な企業誌の編集長を歴任。
90年代後半三國清三シェフとのフランス取材において、ジャック・ピュイゼ教
授(フランス味覚研究所創設者)の「食育メソッド」の提唱を知り、2000年よ
り三國シェフの子どもたちの食育活動をサポート。
現在、東京都市大学付属小学校での食育授業(4年生・年12回)の「ミクニレ
ッスン」は11年目を迎えた。
吉本興業の新宿本社農園で栽培しているイチゴやトウガラシで食育活動を実施
し、「新宿よしもと唐からし」を商品プロデュース。
著名人の伝記も手がけ、著書に「ミクニの奇跡」(新潮社)「加藤和彦ラスト
メッセージ」(文藝春秋)「アルファの伝説 音楽家村井邦彦の時代」(河出書
房新社)がある。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です